学生の声
大沢 真 2008年度修了
※開設にあたって、私が設計、監督をした
道の写真です。
私私が地球惑星科学科を専攻した理由は、なんとなく大学院で環境関係のことがやりたいなあ、というくらいで、特に地学に興味があったわけではありませんでした。実際、研究テーマは地学関係ではなく森林関係のものを選び、現在は「林学」区分で愛知県庁に就職して『林道』に関する仕事に携わっています。しかしながら、道を作るときには「どんな土質か」ということが非常に重要で、地惑で学んだ知識が今になって仕事でとても役に立っています。
地球惑星科学というと特殊で狭い分野を想像しがちですが、研究室を選ぶ際には地球物理系(私は苦手でした)、地球化学系(私は苦手でした)、地質系(私は苦手でした)などなど様々な分野を選択することができるため、地惑に入った後に興味のある分野を探せるのが大きな利点だと思います。また他学科に比べて人数も少なく、実習等で団体行動する機会も多いため、学生同士が仲良くなりやすい環境です。これをお読みの皆様が地惑で楽しい学生生活を送れるよう願っています。
櫻井 万祐子 2011年度修了
大学生活では、非常に貴重な経験をさせて頂いたと感じています。
私は、学部4年生と修士課程の計3年間、熱帯の巻雲とエアロゾルについての研究を行いました。エアロゾルとは、大気中に浮遊する微粒子を言います。これらを観測するためにインドネシアのBiak島へ行ったり、熱帯大気に関する日米合同ワークショップに参加したりと、刺激的な経験をさせて頂きました。
観測では、データを取得できるかという緊張感や高揚感で一杯になりました。また、現象を目の当たりにする面白さを感じました。ワークショップでは、多くの研究者と話す機会がありました。これらの経験を通じ、疑問を持つことは、気づきを得るチャンスだと知りました。
名古屋大学大学院環境学研究科には様々な分野の先生方がおられ、学生の探求心に応えて下さいます。
私は今、気象業界の職に就き、予報作業の基となる観測業務を担当しています。先輩からは「同じ天気でも同じ地上気象ではないと伺い、気づきを逃さぬよう心掛けています。
2008年度修了(上久保),2011年度修了(近藤)
私たちは、名古屋大学で地質学を専攻し、それを活かすことができる資源探査の仕事に就きました。上久保は北米大陸等で、近藤はアフリカ大陸等で金属鉱床や石炭の探査に携わってきました。学生の頃に地質学者は探偵だと先輩から聞いたとおり、岩石露頭に残された手掛かりに基づき地球が過去に何を経験してきたかに想像をめぐらせ、どこにどうやって資源が濃集しているのかを解き明かそうと日々邁進しています。地球を相手とし、また地質以外の分野(語学、経済、法律等)の知識も幅広く必要であるため、思うように行かないことも多くあります。しかし、出張の先々で出会う風景や異文化には毎回ワクワクさせられ、とても充実した仕事ができています。
名古屋大学では理学部に入学し、環境学研究科を卒業するまでに多くの先生方から様々な分野についてお教えいただきました。特に、自然現象に忠実である事の大切さを教わり、現象を見抜くための観察力を磨くことができたことは、大自然を相手にした仕事で世界に通用する技術力を受け継ぐための素地となっています。名古屋大学の学生生活を通して学び遊び経験したことは今でも自分の支えになっており、ご指導を頂いた多くの皆様に感謝しています。
就職前には、世界へ出て活躍できるのか不安がありました。しかしこの仕事を通じて、世界の人々がより幸せに暮らせることに貢献できるようになりたいと名古屋大学に入学した当時に漠然と持っていた思いを、少しは実現できた気がしています。鉱業は環境への負荷が大きい産業ですが、一方で経済発展や先端工業に不可欠な大切な仕事です。自然と人との関わりの最前線で働いていることで、自然への感謝の気持ちを一層強く感じています。
上久保も近藤も大学入学前から地質学専攻を希望していたわけではなく、自然が好きで気象等の地球科学に漠然と興味を持っていた程度でした。入学後に講義や地質調査を通して地質学の面白さに気がつき、この道を選択しましたが、在学中にはこのような世界をまたにかける仕事に就けるとは思いもしませんでした。今は具体的にやりたいことが見つかっていなくても、地球科学は幅広く、活躍の場はあちこちにあると思います。まずは様々な事に興味を持ってチャレンジしてみてください。
木本 洋 2012年度修了
早いもので、環境学研究科を卒業してから4度目の春を迎えました。現在住んでいる東京の神田川に浮かんで流れる桜の花びらを見て、この桜はどこからやってきて、どこへ行くのだろうと思いを巡らせてしまうのは、私が学生時代に水中の元素移動について研究していたせいもあるのでしょうか。
研究科に在籍していた当時私は、湾内の漁業に深刻な被害を与える貧酸素水塊の対策に繋げるための研究を行っていました。三河湾の貧酸素水塊の海水を季節や水深ごとにサンプリングし、微量金属を測定することで、貧酸素水塊の化学的特徴を探っていたのです。
一方現在はと言いますと、国内外の水道事業を手掛ける民間企業にて、浄水場や下水処理場といったプラントを設計しています。大学では機械や設計のことを専門的に勉強したことがほとんどありませんでしたので、最初はわからないことが多く苦労しましたが、丸3年間経験を積み、ようやく技術者として自立してきたかなと思うと同時に、この仕事にやりがいを感じている次第です。
このように、理学的な学術機関から工学要素の強いビジネスの現場へと活動の場は変わりましたが、見ているのは同じ水環境です。分野を横断して様々な角度から人間を取り巻く環境を探究するのが環境学です。ということから私は、水環境を対象にして仕事で利益をあげることに努める傍ら、今も環境学の道を歩み続けていると考えています。
山田 奈海葉 2004年度修了
私は博士後期課程の第一期生です。研究室内でも活発に議論が交わされていましたが、新設研究科では、これまで交流のなかった分野の方とお話ができ、大変新鮮に感じました。地球環境科学専攻は、色々な場所へフィールドワークに出かける研究室が多く、私の所属研究室も研究航海によく参加していました。研究航海では、長期にわたり、様々な研究機関の方と研究・生活を共にし、多くの議論をすることができました。在籍中は、海水中の溶存有機物の化学的性質を明らかにするという非常に学術的な研究を行っていましたが、現職では求められる内容が異なり、研究内容も大きく変わりました。その際、それまで経験のなかった分析手法などを使用する必要性に迫られたのですが、研究航海で出会った方々に非常にお世話になり、なんとか乗り越えることが出来ました。在籍中、視野を広げる機会を多く与えて頂いたことに大変感謝しています。貴重な経験ができる研究科だと思います。
川上 七恵 2007年度修了
大学院の研究室を選ぶ時、私が選んだ指導教官は、当時南極で観測しており、大学院に入学するまで会ったことがありませんでした。私はその先生に丁寧にご指導いただき、とてもよかったと感じています。研究室を選ぶ際、①今の自分が心からワクワクする研究か、②深く考えるトレー ニングができそうか、③最近の論文などの成果がどれくらい出ているか、④同じ分野の先生などに研究室の様子を聞いてみること、が大切だと思います。私の場合はサンプリング装置を開発することや、集めたデータから何を見出すかについて悩むことが、自分の頭でしっかりと考える トレーニングになりました。
卒業後は、愛知県庁で大気汚染物質を調査しました。大学院で学んだことが直結していたため、全国の自治体との共同研究等において、自信をもって発言することができました。今は、研究とは別の環境の部署に所属していますが、大学院で学んだ「現場をよく知り、自分の頭でよく考えること」を大切にしていきたいと思っています。
浦 幸帆 2012年度修了
私は、入学時に研究対象となる試料がすでに研究室に蓄積されており、同級生よりも早く研究を始めることが出来たため、とても恵まれた立場にありました。
それでも在学中は、時間が全然足りませんでした。正直、修論の大枠が出来上がる頃に最も研究って楽しいと感じ、次にこれを調べたら絶対面白い結果が出る、と心残りがあるなかで卒業したので、これから入学する学生さんには同じ後悔をしてほしくないと思います。
就活中は、今まで遭遇した困難に対してどのように対処したか、とよく問われましたが、研究中の経験が最も面接官に関心を持って頂けたように感じました。
実験室にほぼ籠っていた私ですが、先生をはじめ先輩や実験手伝いの方、廊下で声をかけてくれた地球惑星科学系の同級生、先生の共同研究相手の方々など、努力を認めてくれる方が沢山おられます。一生に一度の大学院生活に地球環境科学を選択してくれる後輩が一人でも増えることを願っています。
廣瀬 雄揮 2015年度修了
名古屋大学では花粉の大気中沈降速度と物理特性の関係について研究を行いました。地球環境科学専攻の先生方は熱心に学生を指導してくれます。私の担当教官は学生の自主性を重んじつつ、研究計画の起草から修士論文が完成するまで適切なフィードバックと濃密な議論の場を提供して下さったので、日々学びがあって研究の面白さを知ることができました。研究成果は修士論文だけでなく学術論文として海外の論文誌に掲載され、大きな達成感も味わうことができました。私は現在、総合電機メーカーのR&D部門で知的財産の仕事をしています。今の仕事は、在学時の専攻分野と畑違いです。しかし、特許庁に提出する技術内容を表現した書類は論理的整合性が求められるので、修士論文や投稿論文を書くときに苦労して学習した文章技術と相通ずる部分があります。地球環境科学専攻で勉強した日々が今の仕事に大きく活きていると感じています。
三原 嵩大 2016年度修了
元々、地球環境に関する色々な知識を深めて世界観を広げたいというのが大学院に進んだ目的だったので、自然環境に研究の基盤を置きながら周辺分野の勉強も出来る地球環境科学専攻はまさに私の望む場所でした。
学部時代は湖の栄養塩の研究と海洋のメタンフラックスの研究をし、大学院では水力発電の研究をしておりました。そこで工作技術や発電系の知識、エネルギーマネジメントなどを学びました。地球環境の知識を下地にして工学を学んだことが私の独自性になっていますし、HONDAに入社したルーツであります。
そうした修士研究のみならず他分野の先生方との交流を通じて知った知識や経験が今の私を形作っています。講座やワークショップなどで多くの知識を吸収でき、自由度のある地球環境科学専攻は将来の可能性を広げたいあなたに向いています。とはいえ全部自分次第!研究意欲を忘れず、何事にも挑戦する人になって下さい。Be Ambitious!