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専攻の授業

地球環境科学専攻で行なわれている授業の一部の紹介です.
授業のリストはこちら(研究科共通博士前期課程研究科共通博士後期課程博士前期課程,博士後期課程)をご覧ください.

地球惑星科学概論

この講義は,「地球科学を専攻して来なかった学生」のために開講され,地球惑星科学の枠組みを学びます.学部生時代に物理や化学などを専攻した学生や,都市環境学専攻等の他専攻の学生が多く受講しています.ビッグバンや惑星系の形成過程のような大スケールのトピックから始まり,地球の内部構造,プレートテクトニクスと地震,地球の元素分布,岩石の年代測定,化石と生物進化といったテーマを7名の教員が順に講義します.それぞれの教員はその分野のエキスパートであり,一家言をお持ちです.各教員の個性を感じつつ,地球惑星科学にふれてください!

授業アンケートより

  • 地球に対する「ミクロな視点」と「マクロな視点」がそれぞれどちらも必要であると気付きました.
  • 地球は静的な惑星ではなく,動的な惑星であり続けているものと見方が変化しました.
  • 時間の流れ,ストーリー性を追加して新しい知識を得るのが目的だと感じました.

環境学フィールドセミナー

環境問題や災害,人間活動の現場を訪れ,自らの眼で何か起こっているかを確かめます.そこでの観察結果に基づき,環境問題や災害を真剣に考えます.原則として現場訪問を3回実施しますが,これまでの訪問先は,藤前干潟や長良川河口堰など環境保全の議論が起きた場所,原子力発電所や愛岐処分場などのエネルギー・環境関連の施設,名古屋都心の市街地と歴史的建造物などです.環境学研究科の体系理解科目ですので,他専攻の学生と一緒に教室での事前討論や現場訪問を行います.百聞は一見にしかずと言いますが,実際に現場を訪れ,現場から考えることの大切さを学びます.

授業アンケートより

  • 実際にフィールド調査を現地で行うことで,インターネットや書籍では学べないことを教わりました.
  • 実際の現場で環境にどうアプローチしているか学ぶことができました.
  • 他の分野を学ぶ学生との議論は,視点の違いを実感できて新鮮でした.

資源・エネルギーの環境学

持続可能な社会をつくる上で,エネルギー利用をどうするかは焦眉の課題です.電力だけでなく,熱としての利用,車の燃料など,さまざまなエネルギーの利用の仕方があります.この講義では,エネルギーの物理学からはじまって,地球上でのエネルギーの流れ,化石燃料や原子力,各種の自然エネルギーの記述の基本などを解説したあと,自分なりに将来の日本もしくは祖国のエネルギービジョンを作ってもらい,学生同士で討論を行います.誤解を招きやすいエネルギー利用について,その本質に迫りながらも文系の人にも分かりやすいと好評です.

授業アンケートより

  • エネルギーの物理的な理論,仕組は詳しく説明されたことがなかったので,この講義を通してエネルギーの本質を知って面白く感じた.
  • 最終レポートを書く際に,色々調べていくうちに,自分の視野が広がり,理解を高めることができた.また,自分の国のエネルギービジョンを書くことができ,深く考えさせられることが多くあった.
  • どのエネルギー源が良い,悪いといった話はよく聞くけれど,それがなぜなのか,自分の意見として今後のエネルギー利用について考えることができるようになりました.

メソ気象学

「メソ気象学」の「メソ」とは「中間の」という意味です.気象学においては高気圧や低気圧などの大きなスケールの現象と大気乱流などの小さなスケールの現象の間を繋ぐ「中間の」スケールの現象,すなわち積乱雲やその集合体である降水系を対象とする研究分野です.集中豪雨などのメカニズムを理解するための基礎である大気の熱力学と雲物理過程の講義を行った後に,実際の気象現象(積乱雲・線状降水帯・スコールライン・スーパーセル・竜巻)の構造やメカニズムを大気熱力学や雲微物理学を基礎に考えていきます.

授業アンケートより

  • メソ気象学が項目別にまとめられていて,とても分かり易かった.
  • 計算式を分かり易く丁寧に説明してくださり助かりました.
  • 積乱雲やスーパーセルの成長過程,降水メカニズムが,興味深かったです.
  • 質問し易い環境を作っていただけてよかったです.視覚的に分かり易い資料が多くて理解し易かったとともに,実際にどのようにデータが使用されているか等もとらえやすかったです.

温暖化概論

20世紀後半から続くエネルギー消費の増大等により,地球温暖化の進行がスピードアップしています.同時に,大都市ではヒートアイランド(都市温暖化)が顕在化しています.現在,日本の人口のほぼ半分は,東京・大阪・名古屋の3大都市圏に居住しています.都市で生活すると,地球温暖化とヒートアイランドが重なり合った形で,温暖化を経験することになります.快適な生活環境と産業基盤を確保するためには,温暖化の仕組み・影響・対策を勉強する必要があります.

本講義は,理学・工学・農学・社会学・国際政治学の専門家による領域横断型の講義です.具体的には,①温暖化の仕組み ,②温暖化による自然環境の変動,③社会への影響と対応,国際政治と将来への展望を学びます.目標は,「温暖化によって,近未来の環境がどうなるか」を科学的に理解することです.

授業アンケートより

  • 普段考えるよりはるかに広い範囲における環境の話が聞けたので,新鮮だった.古気候学など,自分でももっと学習したいと思えるものもあった.
  • 地球規模の環境問題に対する様々な面からのアプローチを学ぶことができ,多面的なものの見方の形成に役立った.

大気エアロゾル科学

この授業では大気中に浮遊する微粒子(大気エアロゾル)について学びます.例えば春先に飛んでくる黄砂や,健康影響の懸念されるPM2.5も大気エアロゾルです.大気エアロゾルのひとつひとつの粒子は肉眼では見えないほど小さいですが,人の健康に対する影響のほか,日射を遮ることや雲の形成を介した気候への影響,大気を介した栄養塩の輸送など,地球上の環境に様々な影響をもたらしています.これらの影響を理解するためには,大気エアロゾルの分布や挙動について詳しく知る必要があります.
授業においては,大気エアロゾルの物理的・化学的な基礎知識から,測定原理,大気中での分布・挙動について教員による講義があるほか,測定手法についてより深く理解するために,実際の測定機器を目にする時間もあります.また,統合的な理解を深めるために,基礎的な事項について受講生自身が概要を紹介して,ディスカッションをする機会もあります.さらに,大気エアロゾルのより専門的でホットなトピックスについての講義もあります.修士論文には直接関係しなくても,大気環境を幅広く学びたい人にはぜひおすすめします.

授業アンケートより

  • 参考文献が紹介されていたので,詳細を知りたいときは役に立った.
  • 自分たちで調べて発表し,質問し合う機会は大切だと思いました.