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博士前期課程での二年間

無事に入学,研究室も決まりました.博士前期課程修了までどのような二年間を過ごすのかを見ていきましょう.
まずは,指導教員と議論を重ね,研究テーマを絞り込みます.

入学から修了まで

研究テーマが決まったら,その内容に沿ってこれまでどのような研究が行われてきて,何がすでに分かっているのか,何が分かっていないのか,つまりこれまでに進められてきた研究の背景を把握します.そのためには海外で発表された英語論文を読み込む必要があります.さらに,これまでの研究で用いられた手法や実験装置の使用方法,実験設備や計算機環境などの準備も進めましょう.新しい研究のための基礎を作る大切な時間です.

何が分かっていないのかが分かってきたら,それを明らかにするための方法や材料を考えないといけません.これまでにないデータを手に入れるため,実験を開始したり,数値計算を始めたり,サンプルを採りにフィールドへ出かけたりとやることはいっぱいです.まずは夏休みの終わりくらいをめどに,そこまでに得られたデータを概観して,それらが意味していること,どのような現象を示しているのかの考察と理解,そして解釈をしていきましょう.もちろん,指導教員だけでなく,研究室内外で学生や研究者たちと議論することも大事です.

2年目の9月ごろには,口頭で5分の研究概要説明とポスターを使っての研究発表(地球惑星科学系),口頭で15分の研究発表(大気水圏科学系)をする中間発表が開催されます.さらに足りない部分が見つかれば,最終審査会に向けてデータと議論を強化していく必要があります.

良いデータが集まってくれば,学会で発表をしてこれまで交流がなかった研究者に話を聞いてもらうのも大事なことです.研究室内では気がつかなかった視点から自分の研究を見つめなおすこともできますし,新しい研究を共同で行うきっかけになるかもしれません.チャンスがあれば,海外の学会で発表するのにも挑戦してください.

これまでに得た結果を基にして修士論文を執筆します.必要があれば再実験などを行うこともあります.大変な作業ですが,もちろん指導教員だけでなく研究室の先輩や多くの教員が指導に当たりますので頑張ってください.

修士論文の執筆と並行し,最終審査会に向けて口頭発表の練習も進めます.最終審査会では研究室外の教員や学生も発表を聴きにきます.そのため,分野が異なる人にも話が通じるように,あなたが行ってきた研究の重要性やその成果の説明をすることが重要です.このことは,社会に出てからも大切な能力ですので,繰り返し練習と議論を行いましょう.

長かった2年間も終わりを迎える最終審査会です.これまでの努力を全てぶつけて,さらにここで言われたことも論文中に盛り込んで,ついに提出となります.修士論文の成果を国際・国内学術雑誌に投稿,受理を目指すのを目標としても良いかもしれません.学術誌に掲載されるというのは,あなたの研究成果が研究の世界で認められたということです.この後は,博士後期課程に進学したり,社会に羽ばたいていったりとさまざまですが,これまでの努力がきっと役に立つことでしょう.